生成AI(活用事例)

こんにちは!生成AIチームの shitara です。

最近、毎日のように「生成AI」に関するニュースが流れてきますが、技術的な凄さや面白さに焦点が当たりがちで、「結局、目の前の業務にどう応用できるの?」と疑問に思われる方も多いかもしれません。

この記事では、「生成 AI を使って、皆さんの課題を『打開』するためのアプローチ」として、3つの活用例をご紹介します。

私も多くの生成AI案件に関わってきましたが、アイデア次第で様々な応用ができるのが生成AIの面白いところ。
ぜひこの記事を読んで、皆さんの仕事でどのように応用できそうか、考えてみてくださいね!

こんな方向けの記事です

この記事は、主に下記のような悩みを持った方向けに書いています。

  • 生成AIを自社に導入してみたいが、具体的にどう導入できるか分からない
  • 生成AIに興味があるが、仕事で活用できるイメージが持てない
  • 生成AIと「チャットする」こと以外にどんな応用ができるのか知りたい

活用例

生成AIといえば「ChatGPT」や「Gemini」を想像する方が多いと思います。
これらのサービスでは、生成AIと「対話」することが主な目的で、文章の生成や添削、リアルタイムな日常会話など、人間とスムーズにコミュニケーションを取ることができます。

一方で、皆さんのビジネスシーンでは、生成AIと日常会話できるということだけで何かしらの課題解決につながるケースは稀ではないでしょうか?

ここでは、ビジネスシーンの課題解決にフォーカスして、生成AIの活用例を3つご紹介します。

(1) 自社特化のチャットボット
(2) データ活用を促進するデータアナリスト
(3) 自社の業務を支援するエージェント

(1) 自社特化のチャットボット

前述の生成AIと対話するサービスに、自社の独自データを組み合わせる例です。

ChatGPT に代表される一般的な生成 AI サービスは、社内の独自データのような一般公開されていないデータに基づく回答はできません。
この解決策として、「自社データを検索する仕組み」と連携するアプローチがあります。

AI が回答を生成するときに自社データの検索結果を参照することで、生成 AI が本来知らない情報を踏まえた回答を返すことができるようになります。
これが RAG(検索拡張生成) と呼ばれる仕組みです。

RAG(検索拡張生成)

RAG を組み込んだアプリケーションを使うと、生成 AI に対して自社の独自データに基づいた対話ができるようになります。
具体例をいくつかご紹介します。

(1)-①. 自社の就労規則を検索する社内チャットボット

  • 社内の就労規則を読み込ませることで、社内の申請プロセスのような社内業務に関する質問に回答できるようになります。
  • セキュリティが確保されたアプリ環境を作る必要がありますが、実現の難易度は低く、社内に生成 AI を導入するための第一歩として適切です。

(1)-②. 過去の実績データや検証記録を検索する業務アドバイザー

  • 自社で何かしらのデータを蓄積している場合、それらのデータを踏まえて専門的なアドバイスを生成させることができます。
  • ベテラン社員が持つノウハウを一般化したり、新人さん向けの補助ツールとして活用したりといった応用が可能です。

(2) データ活用を促進するデータアナリスト

生成 AI を使うことで、自由記述欄や会話履歴のような分析が難しい定性的データを定量化して扱うことができるようになります。

社内にこれらのフリーテキスト形式のデータが蓄積されている場合は、生成 AI の導入により一気にデータ利活用の幅が広がるはずです。

データ利活用への応用例をいくつかご紹介します。

(2)-①. アンケート結果の分析

  • アンケートの自由記述欄に対して、満足度の五段階評価や、ポジティブ/ネガティブのような分類をすることができます。
  • さらに、ポジティブな意見とネガティブな意見をそれぞれ要約して比較することで、短時間で回答者の意見の概要をつかむことができます。

(2)-②. 会議の議事録分析

  • 会議の議事録など、膨大なテキストファイルが記録されている場合、それらの情報を要約して参照しやすくすることができます。
  • コールセンターの録音情報など、自然言語で記録されているデータであれば、同様の応用が可能です。
生成AIを用いた定性的データの分析例

一方で、生成 AI 自身を「 データを集める側 」として活用することもできます。
つまり、生成 AI をインタビューアーとして活用するパターンです。

分かりやすい例として、「コンビニのレジ店員」を生成 AI でロールプレイしてみましょう。
レジ店員さんは、客に対して「商品を温めるか?」「袋は必要か?」といった質問を投げかけ、必要な情報を集めてくれます。

生成 AI に以下のテキストを入力して送信してみます。
過去の会話履歴があると上手く動かない可能性があるので、もしお手元で試す場合は履歴をクリアしてから入力してください。  

あなたはコンビニのレジ店員です。  
ユーザーに質問をして、「袋は必要か」「商品を温めるか」「箸を何膳つけるか」を聞き出す必要があります。  
ユーザーとの会話を通して、これらの情報を集めてください。

Example  
User: <ユーザーが商品をレジに持ち込みました。>  
AI:袋は何枚必要ですか?  
User: 1枚です。  
AI:商品は温めますか?  
User: いいえ  
AI:最後に、お箸は何膳つけますか?  
User:1膳です。  
AI: ありがとうございました。<袋1枚、温めなし、箸1膳>  

それでは、実践してみましょう!  
User: <ユーザーが商品をレジに持ち込みました。>  
AI:
 

これを送信すると、レジ店員さんのような質問を生成 AI が返してくれるので、回答していきます。

AIインタビュアーのデモ

生成 AI から積極的に質問し、それに回答することで、必要な情報を聞き出すことができました。

これを応用すれば、5W1H(いつ・どこで・何を・誰が・なぜ・どうやって)といった具体的な情報を、インタビューを通してユーザーから聞き出すことも可能です。
従来のアンケートではなく、生成 AI とのコミュニケーションを通して情報を集めることができるようになります。

(3) 自社の業務を支援するエージェント

最後にご紹介するのは、最近注目されている「エージェント」の活用例です。

「エージェント」という言葉自体は、「人間のような振る舞いをするプログラム」という意味で様々な分野で使われてきました。
生成 AI の分野では、特に「特定の目的に応じた手順(タスク)を自律的に判断して実行する AI」という意味合いで使われます。

ここでは、「Web検索」を行うエージェントを例に、詳しく見ていきましょう。

エージェントでは、あらかじめ AI に対して「目的」と「手順」を教えておきます。
Web検索エージェントの場合、目的は「Webを検索し、ユーザーの質問に答えること」です。
手順は事前にいくつか定義することができますが、今回は「Google検索を実行する」と「指定した URL のサイトにアクセスして中身を確認する」の2つにしておきましょう。

次に、このエージェントに対して質問文や指示文を入力します。
試しに、以下のテキストを入力してみます。

株式会社ベーシック( https://www.basic.co.jp/access.html )の各拠点における、明日の天気は?
ちなみに、今日は 2025年3月25日 です。

弊社は東京、大阪、新潟に拠点があります。
この例では、それぞれの拠点での天気予報を質問しています。
生成 AI は現在時刻を正確に知らないので、入力テキストで今日の日付(実行時点の日付)も教えてあげましょう。
この指示が与えられたとき、我々人間であれば、東京・大阪・新潟の明日(この場合は 2025/3/26)の天気をそれぞれ Web 検索するはずです。

実は、弊社の AI チームで Web 検索エージェントを開発しています。
このエージェントに対して同じ質問を送信してみましょう。

Web検索エージェントの実行結果

各拠点の天気予報が返答されました!

回答中のリンクをクリックすると、エージェントが参照した天気予報の Web ページを確認できます。
リンク先を見てみると、エージェントの回答内容は実際の天気予報と同じで、それぞれ正確な情報で回答できているようです。

エージェントの実行プロセスも確認してみます。

Web検索エージェントの実行プロセス

最初のステップで、弊社の各拠点情報が記載されたホームページ( https://www.basic.co.jp/access.html )にアクセスし、私たちの事業所の住所を調べています。

次に、各拠点の住所に応じて、東京・大阪・新潟の天気予報を Google 検索してくれています。

今回は Web 検索の例をご紹介しましたが、「目的」と「手段」を上手く設定することで、あらゆる業務への応用が可能です。

エージェントを活用することで、皆さんのお仕事を AI がサポートする仕組みも実現できるかもしれません。

まとめ

今回は、生成 AI を使って皆さんの課題を「打開」するためのヒントとなる活用例を3つご紹介しました。
これらの例のように、生成 AI を使うことで人間のような判断をするシステムを構築することができます。

皆さんが抱える課題についても、解決の糸口があるかもしれません。
AI の活用についてお悩みがある方は、ぜひお気軽にご相談ください!

導入事例

生成 AI・エージェントに関する導入事例です。
ぜひご覧ください。