タブレットを持った作業員

当社が得意とする技術のひとつ、モバイルアプリケーション開発の導入事例をご紹介したいと思います。
今回はWindowsタブレットとiPadを大量に導入されている企業様の導入事例となります。
導入にあたっては、PoC(Proof of Concept)を実施することで実現可能かを検証した後に、正式に導入が決まりました。
このPoCについては、別途どこかの記事で触れようと思います。

お客様が抱えている課題・お悩み


このお客様の工場や倉庫などの敷地は、移動するのも大変なほど広い敷地です。
一方、各現場で必要となる設計図面などの文書は紙で管理されており、都度設計図面を現場で確認するには大変な労力が必要でした。
そのため、いつでもだれでも(もちろん関係者のみ)設計図面などの文書をすぐに確認できるように、タブレットを現場に置いておくことでそれを実現したいと考えました。

タブレットを利用し、業務マニュアル、設計書などを作業場所ですぐに検索・確認できるようにすることで業務の生産性をあげる取り組みです。
ただ、懸念もありました。
設計図面等の文書類は、当然のことながら機密情報に該当するため、タブレットを敷地外に持ち出されると関係者以外の目にも触れてしまうリスクがありました。
お客様のセキュリティ要求は以下の1つのみ。

「機密文書が関係者以外の目に触れないようにする」

解決アプローチ

お客様にて既製品等を探しましたが要求を満たす製品はありませんでした。
MDMによるロックやリモートワイプの利用も考えましたが、こちらもお客様の要求を満たすものはありませんでした。
そんな中、当社にお声がけ頂き、以下の提案が採択されるに至りました。
「タブレットが敷地外に持ち出されたらタブレットを利用不可能にして、機密文書を閲覧できないようにする」
もちろん機密文書はタブレットに保存するのではなく、サーバに厳重に保管するようにしています。

もう少し詳しく説明すると、「ジオフェンス機能を有したモバイルアプリを独自開発」することをご提案しました。
ジオフェンス」とは、
地図上において仮想的な境界で囲まれたエリア
を指します。

今回の「ジオフェンス機能」とは
地図上で敷地をジオフェンスとして定義し、タブレットのGPS機能を利用することでそのジオフェンスから出たらタブレットを利用できなくする
という機能です。

以下のようにジオフェンス(青エリア)を定義します。

ジオフェンスの例

ジオフェンス外にタブレットが移動したら管理者にメール送信します。
メールを受け取った管理者は、機密データにアクセスできないように寛容設定を変更する運用としました。

実現できたこと

お客様にはジオフェンス機能を有したアプリをタブレットにインストールしてもらうだけです。
それだけで敷地内では通常どおり業務ができ、敷地の外に持ち出した場合は、メールでの通知とシステム運用により
機密情報にアクセス出来ない状態を作り出す事が出来ました。
これによって従業員の方々には安全にタブレットを利用し、業務効率の大きな向上が実現できました。

今回のシステム構成

Swift/C#/JavaScript/Java/Apache/Tomcat/SQL Server

こぼればなし

このシステム、テストが本当に大変でした!
自社付近でジオフェンスを定義し、GPSの精度調整や検証を繰り返しました。
雨の日も雪の日もタブレットを持ちながら会社付近をずっとうろつくわけです。
タブレットを見つめながら、同じところを何回も何回も行ったり来たり。
どうみても不審者に見えたような気がしますが、こればかりは致し方ありませんでした。
テストしてくれたスタッフに感謝です!

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