今回はエクセル管理の限界を解決した事例をご紹介します。
企業で日常的に活用されているエクセル。
その便利さゆえ、幅広い業務で使われていますが、長年多用することで多くの問題が発生することもあります。
たとえば
・ファイルが散在し、どのデータが正しいか分からなくなる
・手動入力が原因でデータの信頼性が低下する
・複雑な関数やマクロが原因で、操作ミスやファイル破損が増える
今回は、こうしたエクセルの限界に直面したお客様の課題を解決した実例をご紹介します。
当初はお客様内でSalesforceの導入を検討されていたそうですが、
利用者も多いうえに、UIがエクセルとは大きく変わって使い勝手が悪く、
プロジェクトが頓挫したとのことで当社にご相談いただきました。
お客様が抱えていた課題
お客様は、「助成金の申請業務」において、エクセルの利用に限界を感じておられました。
申請の審査ごとにエクセルファイルを作成する業務手順となっており
申請のたびにエクセルファイルが増えていく、という状況でした。
エクセル操作の限界
・エクセルで管理しているマスタデータ変更時の入力ミスによる効率低下
入力ミスや記入漏れが多く、チェック作業に多大な時間を要す
・エクセルブックの散在
ファイルが一元管理できず、各担当者が個別にコピー&ペーストして編集するたびにファイルが分散
・エクセルファイルの破損
マクロを多用した巨大なエクセルファイルを共有編集していたため、頻繁にファイル破損が発生
・計算処理の遅さ
エクセル帳票のマクロ処理(統合処理)に多大な時間がかかり、作業効率が低下
管理者の負荷増大
・助成金支給時期の作業用ファイルの作成に1週間
多くのブックをとりまとめる必要があり、かなりの時間を要した
・マスタデータ更新後の再計算に1日
エクセル上のマスタデータ更新⇒実績値を再計算⇒マクロ実行して計算
と手順が多いうえに、失敗による中断もあり
・納品用ファイルの作成に数時間
納品ファイルは数百のファイルを統合する必要がある
これを納品ごとに6時間要していた
など業務が煩雑化し、管理者に大きな負担がのしかかっていました。
解決アプローチ
お客様の課題を解決するにあたり、お客様の制約事項がありました。
システム化方針を検討するうえで、以下2点が大きな制約でした。
・社内で運用保守体制が構築できないため、システム設備(ファイルサーバ以外)を保有しないこと
・お客様内の過去事例を踏まえ、オペレータの業務は変更しないこと
お客様課題とこの制約事項を踏まえ以下の方針を取りました。
クラウドサービスの活用
システム設備を保有せず、クラウドサービス(Azure)を活用することで、運用負担を最小化。
クラウド(システム)の運用保守は当社が担当。
現行業務を変更しない設計
従来のエクセル操作をそのまま維持する(UIはエクセル)とともに、帳票も現行のエクセルファイルを利用する。
マクロで実行しているロジックなどをクラウドに実装することでローカル(社内)でエクセルブックを管理しない。
(エクセルのアプリケーションは実行するPCにインストールが必要)
成果と改善ポイント
導入後、次のような成果を得られました。
・作業用ファイルの作成時間を1週間から1日に短縮
・マスタデータ更新後の再計算を1日から5~10分に短縮
・納品用ファイル作成を瞬時に実行可能に
・エクセルファイルの管理が不要に(エクセルファイルが増えない)
更にこれにより、ヒューマンエラーも減少し、生産性が大幅に向上しました。
今回のシステム構成
プラットフォーム:Azure / ASP.NET (PaaS)
開発言語:C#.NET
データベース:SQL Database (PaaS)
その他:VSTOアドイン
まとめ
今回ご紹介した事例では、エクセル業務の課題を解消するために、クラウド技術を活用したシステムを導入しました。
これにより、従来の業務プロセスを維持しながら、生産性と正確性を大幅に向上させることができました。
「今の業務を大きく変えずに効率化したい」
「エクセル業務に限界を感じている」
という方は、ぜひ一度ご相談ください。
お客様に最適な解決策をご提案いたします!