20年以上前に開発された業務システムを刷新することで、現行業務の生産性と精度を大幅に向上させた事例を紹介します。
刷新対象の業務システムは、20年以上前の業務にマッチするように開発されました。
お客様自身が内製された業務システムでしたが、生産設備や市場などビジネス環境の変化に対応するためのシステムメンテナンスが行き届いておりませんでした。
まさに、システムが老朽化している状態でした。
そのため、
現状の業務を効率化するためのシステム
ではなく、
システムに合わせて現状の業務を
行っておりました。
このお客様は、システム刷新に対応できる開発会社を探しておりましたが、「dBase」という特殊なプログラミング言語で開発されている、業務に関する専門知識が必要な業務システム、などの背景からなかなか提案・対応してくれる開発会社が見つからなかったそうです。
そんな中、当社にご相談をいただきました。
当社もお客様業務はもちろん、プログラミング言語のノウハウも実績もありませんでしたが、提案させていただくことになりました。
お客様が抱えている課題・お悩み
お客様が抱えていた問題は主に以下となります。
業務システムが現行業務にマッチしていない
業務システムが古すぎ、現在の業務形態に合っていないためシステムに合わせるように業務を行っていました。
システムはお客様で内製したものの当時の開発者もそろえられず、当然本業のほうが大切なため、システムに機能を追加したり、修正したりなどのメンテナンスもできない状況でした。
そのシステムしかないため、生産性が悪い、というような指標を出すことはできませんが、ご担当者はシステムを刷新することで生産性、正確性が大幅に向上することを確信されておりました。
システムが将来使えなくなる
以下理由により、現行のシステムが将来使えなくなることが明白でした。
- サポート切れの古いソフト(ツール)で開発されている
- サポート切れの古いOS(Windows XP)やPCで動作している
- システムをメンテナンスできる人がいない
また、業務に多大な影響を与える重要なシステムでした。
システムの利用における属人性が高い
当時のビジネス環境に合わせたシステムのため、普通に利用しても期待する結果が出せないシステムとなっていました。そのため、期待する結果を得るために、システムに入力するデータをご担当者様が持っているノウハウを活用し、加工することでデータ入力をされていました。
また、システムの利用環境もオープンとは言えず、システム利用にあたっての環境制約が発生していました。
こうなると担当者以外の人は使うことができません。
引き継ぐことも用意ではないと想像されます。
解決アプローチ
上記課題を解決するため、お客様と相談しながら以下のようなアプローチをしました。
現行システムを刷新する
現在の業務形態にマッチさせるためには、システムの仕様を大幅に見直す必要がありました。
また、仕様だけではなく、システムの操作性、システムへの入力データなど他の人でもシステムを利用しやすくするような改善をすることで、属人性を下げることを狙いとしました。
と、いろいろお客様と考えた結果、現在のシステムを改修するのは現実的ではないと判断したことと、お使いのソフトウェアがかなり古いため、一からシステム構築することにしました。
最新のテクノロジーを採用する
長期の利用を踏まえ、当然のことながら極力汎用的で最新のテクノロジーを採用しました。
開発言語やシステム動作環境もコモディティ化しているテクノロジーを採用することで、「開発会社」や「人」への依存度を上げないようにしました。
また、当初はハードウェアなどのメンテナンスが不要なクラウドを採用することで話を進めておりましたが、お客様都合により、最終的にはオンプレミスでの構成となりました。
ただ、将来的に最小限の改修でクラウド上で利用できるようシステムを設計・構築することで、お客様がクラウドに載せ替えたい、となっても容易に移行することができるようにしました。
もちろん、外部接続のないオンプレのシステムですが、クラウド上に公開しても問題ないセキュリティ対策を施しています。
Webアプリケーションとして構築する
属人性を下げるもう一つの施策として、Webアプリケーションとしてシステムを構築することにしました。
Webアプリケーションは、ブラウザ(ChromeやSafari)だけあれば利用できるシステムです。
ミドルウェアをインストールしたり、OSのバージョンも気にする必要はありません。
これにより、システム利用の環境制約を取り除き、利用性を向上しました。
また、Webアプリケーションにすることで、今後はシステムがOUTPUTしたデータを紙で印刷して配布、ではなく、誰でもブラウザから見れるようにすることで、システムの拡張性も向上しています。
改善できたこと
業務の生産性が大幅に向上した
システム仕様を現行業務に合わせるよう大幅に変更したことで、現在の業務の生産性が大幅に向上したとのお声をいただきました。
月数回その業務を行うのですが、1回で8時間要していた作業が1時間ほどに短縮されたとのことです。
年間で考えればかなりの効果が出せているようです。
現行業務や環境に合わせて仕様を見直しているため、当然システムがOUTPUTする精度も向上しています。
当面の間、システムを不安なく利用できるようになった
最新のテクノロジーを採用してシステムをリニューアルすることで、当面の間はシステム利用に不安はありません。
また、システムのメンテナンスや拡張は当社で行えますし、仕様書やソースコード一式もお客様に納品しているため、当社でなくてもメンテナンスはできる状況を整えられています。
(ただ、業務がとてつもなく複雑なため、まずは業務を覚えることが必要ではあるものの、当社でなくてもできる状況にしました)
システムの利用における属人性が下がった
システムを極力使いやすく、シンプルに作ったこと、Webアプリケーションにより誰でも、どのPCからも利用できるようにしたことで、システムの利用性が大幅に向上し、属人性を下げることができました。
また、これまでは担当者様がシステムの出力結果を印刷して紙配布していたものを、今後はブラウザを通じて誰でも(もちろん認証・認可は必要です)見ることができるように拡張していくこともできます。
お客様にご協力いただいたこと
お客様の主な(我々に対する)作業は以下となります。
- お打ち合わせ
- 仕様書や帳票などの資料のご提供
- 仕様の決定(承認) ※一部はお客様に仕様をご検討いただきました
- 納品前の受入テスト
こちらにも発注者がやるべきことを記載しているので、よろしかったらご覧ください。
みなさんこんにちは。今回は、プロジェクトの成否がほぼ決まるといっても過言ではない「要件定義」という工程について、3回に分けてお伝えしようと思います。要件定義の前工程に要求定義という工程があったりもしますが、要求を整理して …
ちなみにプロジェクト開始当初は対面で打ち合わせをしていましたが、双方の関係性をつくれてからは感染症の対策によりすべてリモート会議で進めさせていただきました。
今回のシステム構成
クラウド(Microsoft Azure)の利用を提案をし、お客様担当者様も大いに賛同いただいたのですが、 お客様の社内ルールなどの制約により、オンプレでのご提供となりました。
- プラットフォーム:Windows Server/.NET Core
- プログラム言語:C#/JavaScript
- その他:Windows アプリケーション、EXEアプリケーション(バックグラウンドの機能)
さいごに~こぼればなし
- お客様の業務がとにかく特殊で、業務や専門用語を理解するのに非常に苦労しました。ただ、お客様が非常に協力的だったこともあり、お客様業務にかなり詳しくなり、
「うちの社員より業務詳しいです(笑)」
とうれしいお言葉をいただきました。 - 現行システムがdBaseで開発されていたため、dBaseという初めてのプログラム言語を解析しました。
インターネット上でも情報が少なく、こちらも非常に苦労しました。 - 納品後も順調にシステムが稼働し、お客様の業務負担の軽減に大きく寄与できております。
プロジェクトが成功したのは、お客様の多大なご理解とご協力があったからです。 - 現行システムの仕様書は存在してましたが、専門用語がほとんどで理解できませんでした(汗)
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