
前回の記事では
システム開発のプロが実際にやってる~システム開発の見積内容は?「機能開発費用」編
前回の記事では について、全体像を紹介したうえで、システム開発において検討する費用として がありました。 この記事では、4つの見積項目のうち、「機能開発費用」にフォーカスし、機能開発費用は何の費用なのか、見積依頼時にどの […]
「機能開発費用」にフォーカスし、機能開発費用は何の費用なのか、見積依頼時にどのようなポイントがあるかを取り上げました。
機能開発の見積はイメージしやすい一方、見積のブレや追加費用の原因になりやすいのが「非機能要件」(=性能や安全性など、機能以外の品質に関わる要件)です。
今回の記事では、システム開発未経験の方向けに「非機能要件とは何か」「どんな観点で見積もるのか」を説明します。
非機能要件対応費用とは
- 会員を登録できる
- 注文ができる
- 検索ができる
「何ができるか」を機能要件といい、
- 同時に何人が使えるか
- 何秒で表示されるか
- 障害が起こった時にどう復旧するか
- 誰が何を操作できるか
- 誰がいつ操作したかを後から追跡できるか
「どれだけ快適に・安全に・止まらずに使えるか」といった機能ではない要件を非機能要件(※)といいます。
この非機能要件を実現するための費用が、非機能要件対応費用となります。
※非機能要件を取り決めておかないと、運用中に以下のケースに陥ることがあります。
- 「思ったより遅い」→ 性能改善が必要
- 「システムが止まって困る」→ 冗長化(システムが止まらないよう予備を用意すること)が必要
- 「情報漏えいの危険性を検知した」→ 脆弱性強化が必要
- 「運用が回らない」→ 運用ルールや手順書の整備が必要
非機能要件の見積に必要な6つの観点
非機能要件では、基本的に以下の観点でヒアリングを行います。
| 観点 | 主なヒアリング内容(一例) |
|---|---|
| 性能・拡張性(動作の速さ・将来的な拡張性) | ・何人の利用者が同時に使うか(通常時/ピーク時) ・将来的に機能を拡張する予定はあるか |
| 可用性(止まらない・すぐ復旧できること) | ・メンテナンスなどでシステムを止めてよい時間はあるか ・障害などでシステムが止まったとき、どのくらいの時間までなら待てるか |
| 運用・保守性(完成後に運用し続けられること) | ・システムに障害が起こった際、誰にどのように通知し、復旧まで対応するか ・安心して使い続けるための点検やデータ保管をどこまで行うか |
| セキュリティ(安心・安全に使えるか) | ・扱う情報の重要度(個人情報、決済、機密など)は何か ・情報漏えいや不正アクセスを防止するため、どこまで対策を行うか(認証方法・利用者ごとの権限設定など) |
| システム環境(クラウドか自社サーバか) | ・どこにシステムを構築するか(インターネット経由で使うクラウド/社内に置くサーバ機器) |
| 移行性(データの移行) | ・今お使いのデータを新しいシステムへ移し替える必要があるか(現行システム、Excel、Accessなど) |
非機能要件の整理は私たちが主体となって進めます。ヒアリングしながら内容を固めていきますので、事前の準備は不要です。
気になる点やご要望があればその中でお聞かせください。
非機能要件が起因のトラブル事例
非機能要件の検討不足が原因で発生したトラブルの事例を紹介します。
事例1:予備の装置に切り替わらず、証券取引が終日停止(2020年)
2020年10月、東京証券取引所の売買システムで、データを保存する装置が1台故障しました。
本来は予備の装置へ自動的に切り替わる設計でしたが、切り替えの設定が正しくなかったため機能せず、この日は全銘柄の売買が終日停止しました。
不足していた観点:可用性
予備を用意するだけでなく、「実際に切り替わるか」の検証と手順の整備までが目標に含まれていませんでした。
出典:日本取引所グループ「10月1日に株式売買システムで発生した障害について」
事例2:全市民約46万人分の個人情報が入ったUSBメモリを紛失(2022年)
2022年6月、兵庫県尼崎市で、業務を委託された事業者の社員が全市民約46万人分の個人情報をUSBメモリにコピーして持ち出し、外出先で紛失しました。
USBメモリは後日発見されましたが、市は記者会見での謝罪や相談窓口の設置といった対応に追われました。
不足していた観点:セキュリティ
「誰が、どのデータを、どこまで扱えるか」という権限設定とデータ持ち出しのルールが定められていませんでした。
いずれも、調査や謝罪、更には社会的信用の回復といった本来不要だった対応に莫大な労力がかかります。
出典:尼崎市「全市民情報の入ったUSBメモリの紛失について」
まとめ
非機能要件対応費用は6つの観点を実現するための費用です。曖昧なまま進めると、トラブルの発生リスクが高くなります。
非機能要件の判断には専門知識を要する内容なため、私たちがサポートしますのでご安心ください。

